輝くことは大切だが・・・
〜「がんばろう!日本」じゃなきゃダメですか?〜
マインドファースト通信 編集長 花岡正憲
「本日輝いていたスタッフがおりましたらお書き下さい」レストランでよく目にするお客様アンケートだ。人が,輝くことを大切にしたいのは,自分らしく生きていたと思える時間を大切にしたいからだ。人生半ばでつまずいたときも,輝いていた自分に気づくことで,立ち直りや新たなスタートのきっかけをつかめることもある。
このところ「がんばろう!日本」の言葉が躍る。輝きを取りもどすために,頑張ることが必要なこともあろう。「レッツ・ゴー!」が「私も行くから,あなたも行け」であるように,「がんばろう!日本」は,呼びかけている人の姿は見えないが,「あなたも,がんばるべきだ」と言うメッセージがこめられている。命令法で人を動機づけようとするやり方だ。こうした罪悪感や孤立する不安に訴えかける方法は,意欲を引き出すよりも,やる気をなくさせてしまうことがある。自分なりに頑張っている人やこれ以上頑張れない人にとっては,うっ積した憤りや苛立ちを生み出すもとになる。
そもそも,頑張らなければいけないと思って頑張ってしまう場合も,自ら動機づけられた意思ではなく,実は,内なる他者(権威者)からの要請(demand)である場合が多い。うつ病の人に「がんばれ」が禁句とされるのは,この内なる他者の要請に応えることができないという罪悪感を一層強め,自分を責めてしまうことがあるからだ。かつて,閉塞感が強まる中で,「欲しがりません。勝つまでは」の言葉の暴走があった。言葉の暴走は,思考停止の闇を深くする。節電熱中症という犠牲者を生む背景は,こうしたこととも関係しているであろう。
上に立つ人の価値観やルールをそのまま受け入れ,自分固有の生活習慣や態度や信念を否定し,軽蔑さえしてしまっている人は少なくない。自分でコントロールできない大きな力によって支配されていることに耐えている中で,ある問いかけが,内なる対話のきっかけになることがある。あの「一番じゃなきゃダメですか?」の衝撃は,人々が内なる声を聴き,新たな気づき(awareness)の中で,エンパワーされる瞬間があったからだ。
話は,冒頭のレストランにもどる。駐車場に客の姿が見えると,オキャクサマデースにはじまり,イラッシャイマセーと厨房からも声が飛んでくる。店内員の注文を調理員がアイヨーと受ける。客がレジへ向かうとオキャクサマオカエリデース。そして,ここでまたアリガトゴザイマシターと合唱が追いかけてくる。客はくつろげないが,「輝いているスタッフは誰か」と観察するほどナイーブな客もいない。未曾有の震災をよそに,政治の場でも,輝きたい人たちの言葉が躍る。輝くとは,言葉を躍らせることではなかろう。
「がんばろう!日本」は,すでに,これまで歩んできた道だ。客も店員も輝くことが難しい日本というレストラン。そうした中で,この時期の「がんばろう!日本」は,国民一人ひとりが,あらためて大きな喪失の事実を受け入れ,自分には何ができ,何ができないか,自らに問いかけるきかっけになったという意味において,逆説的効果があったと言えよう。
第64回理事会報告
日 時:2011年6月6日(月)18時30分〜21時00分
場 所:高松市男女共同参画センター第1会議室
事務連絡および報告に関する事項:省略
第1号議案 総会準備に関する事項:議案書の最終調整並びに次期監事の選任に関する協議を行った。
第2号議案 法人の拠点使用に関する事項:法人拠点物件を基金事業として活用する場合の使用料の扱いについて,総会終了後の理事会の審議事項とすることで了承された。
第3号議案 講師派遣に関する事項:他団体から依頼があった講師について派遣することで了承された。
第4号議案 その他 (1)他団体のスーパービジョンについて:今年度も理事を派遣することで了承された。(2)その他:省略。
第65回理事会報告
日 時:2011年6月13日(月)18時30分〜21時00分
場 所:高松市男女共同参画センター 第1会議室
事務連絡および報告に関する事項:省略
第1号議案 総会準備に関する事項:新理事,新監事並びに総会の議長に関する事務局案が示され了承された。
第2号議案 他団体からの後援依頼に関する事項:他団体が主催する事業への名義後援を受諾することで了承された。
第3号議案 その他 (1)総会終了後の登記並びに届出事務について確認を行った。(2)現任の事務局担当理事の退任に伴い,現任者が引継事項の目録を作成し,後任の事務局担当理事に迅速かつ遺漏のないように引継ぎ事務を行うことで了承された。(3)拠点物件については,個別相談に耐えうるプライバシーに配慮された物件を当たることで合意が得られた。
第66回理事会報告
日 時:2011年6月19日(日)10時00分〜11時30分
場 所:高松市男女共同参画センター
事務連絡および報告に関する事項:省略
第1号議案 総会当日の役割に関する事項:総会当日の運営を円滑に行うために役割分担を行った。
第2号議案 議案書の訂正に関する事項:理事より指摘のあった点を確認するとともに,訂正箇所については総会開催前に口頭にて説明を行う事で承認された。
第3号議案 総会終了後の理事会に関する事項:総会終了後,理事会を開催し,理事長,副理事長及び事務局長を選任することで了承された。
第67回理事会報告
日 時:2011年6月28日(火)20時00分〜21時00分
場 所:高松市総合福祉センター5階第2会議室
第1号議案 理事長,副理事長の選出に関する事項:理事長に島津昌代,副理事長に柾美幸・藤澤司の2名が選出された。
第2号議案 事務局長等選任に関する事項:(1)事務局長に三好千秋が,また事務局員に藤沢司と松岡祥恵の2名が任命された。(2)近日中に前任者からの事務引継を行うとともに,事務担当者会を持ち,役割分担を行うことが確認された。
第3号議案 その他:情報誌『香川県の精神保健福祉』の年度更新に伴う調査依頼があり,昨年同様の活動内容とすることで了承された。
 編集後記:FIFA女子ワールドカップドイツ2011で,なでしこジャパンが優勝しました。手づくりとも言えるさわやかな世界一を心から祝福したいと思います。勝者に群がる病害虫に侵され,「なでしこ」本来の輝きを失うことがないようにと願っております。(H)