NPO法人グリーフワークかがわ
設立記念シンポジウムに参加して
マインドファースト副理事長 柾 美幸
NPO法人グリーフワークかがわは,人生におけるさまざまな喪失を体験した人たちが,病的悲嘆に陥ることを防止し,よりよい生き方を見出すための支援を行い10年という年月を重ねてきました。それを記念して,12月5日開催されたNPO法人設立記念シンポジウムに,マインドファーストの活動である自殺で大切な人を亡くされた方の支援グループ「サバイビング」の担当者としてパネリストで参加しました。
「サバイビング」の担当をするようになって,まだ2年目の私です。この春,パネリストの依頼を受けたものの,自分の中では何を話せば良いかイメージが描けないまま,当日を迎えることになりました。
私以外のパネリストは,臨床心理士,看護師,高齢者介護と介護者の心のケアをされている方たちです。どなたも実践の場で人が亡くなるということと真正面から向きあう体験をされており,それぞれの立場からの発表は,幅広い体験に基づいた,実に重みのあるものでした。また,コーディネーターのお話には,ふわりと包まれるような不思議なものを感じました。最後の私の発表場面では,「サバイビング」での活動経験の少なさからくる心細さに加え,実際の「サバイビング」の場面がよみがえってきて,参加された方たちにとって「良き場」だったのだろうか?などと考えてしまいました。
今回のシンポジウムへの参加は,私が思い描いていた「喪失」とは違うものを感じる機会にもなりました。これまで「喪失」という言葉をある種特別なものとしてイメージしてきたからでしょう。自分自身にも起きた「喪失」を,何でもないこととして納めていたため,自分にも失うものがあったという事実から逃げていたのです。誰にでも起こる「喪失体験」を,どのような乗り越え方をするのか,それは人それぞれです。でも必要なのは人と人が「つながる」ということです。これは喪失体験をした人だけではなく,ソーシャルワーカーとして仕事をする上でも重要なことだと思っています。人が生きる上での基本だからです。
マインドファーストの事業の一つである「サバイビング」がsurviveの進行形になっていることの意味が,「つながる」「支援」「語る」「聴く」など,これらも全てが進行形であることとして,私の中で結びついています。
1年前から準備を重ねてきたというグリーフワークかがわの皆様の活動に,敬意と感謝を表するとともに「つながり続ける」ということの大切さを改めて強く感じました。
香川県立保健医療大学生との交流会開催される
2010年12月19日(日)午前10時30分から,高松市男女共同参画センターにおいて,香川県立保健医療大学の学生とマインドファーストの交流会が持たれました。大学側からは,保健医療学部看護学科の指導教官と学生さん7名が,マインドファーストからは,島津理事長をはじめ5名が出席しました。はじめに,理事長から,交流会開催の趣旨について説明があり,引き続きマインドファーストの事業紹介が行なわれました。質疑と意見交換では,学生さん側から,今年度行なわれたファミリーカウンセラー養成講座やNPO活動とその意義についての質問があり,さらに医療現場における家族支援のあり方や健康とはなにか,といった日頃から抱いている疑問について活発な意見交換が行な
われました。また,看護学生が実習現場において体験する切実な悩みについても,お話をおうかがいすることができました。今回の交流会は,マインドファーストの活動を理解していただくとともに,学生と一般市民という立場を超えて,今日の保健医療現場の関心や課題を共有する有意義な時間となりました。最後に,これからの市民活動と学生との協働の可能性について確認しあい交流会を終えることができました。
第53回理事会報告
日時:2010年12月13日(月)午後6時30分〜9時00分
場所:高松市男女共同参画センター 第1会議室
議事の経過の概要
事務連絡および報告に関する事項:省略
第1号議案 ファミリーカウンセラー登録証に関する事項:登録証(案)のレイアウト等を審議し,原案どおりで承認された。他の関係機関の協力を得てラミネート加工を行なうことも了承された。
第2号議案 マインドファースト家族精神保健相談員認定規則改正に関する事項:改正案が審議された結果,一部修正の後承認され,12月13日付での施行が決議された。
第3号議案 ファクトシート(2010年度香川県地域自殺対策緊急強化基金事業のうち普及啓発事業)の作成に関する事項:普及啓発事業担当理事が作成したファクトシート原案を検討,一部修正を行い承認され,印刷見積を取ることで了承された。
第4号議案 2011年度香川県地域自殺対策緊急強化基金事業への取り組みに関する事項:2011年度はクライシスサポートカウンセリングとサバイビングの2事業を継続することが確認された。切れ目なく事業を行なうために,2011年3月に県当局へ正式な申請を行い,3月中には内示を得ることで了承された。
第5号議案 香川県立保健医療大学学生との交流会に関する事項:12月19日10:30から交流会を開催。参加者には,マインドファーストのミッションや学生とのコラボレーションのねらいについて説明を行なう。資料として,マインドファーストのブロシュール及び事業内容を紹介するために事業報告書等を用意する。司会は理事長が担当する。以上のことが了承された。
第6号議案 活動拠点の確保に関する事項:前回理事会からの継続審議事項であるが,現在具体的な物件は見つかっていない。引き続き,物件を当って行くことで了承された。
第7号議案 介護労働安定センターからの講師派遣依頼について:介護労働安定センターから「感染症予防」についての講師派遣要請が出されている。マンドファースト会員並びにその周辺の関係者で派遣可能な人材を当たってみることで了承された。
 編集後記:「ストレスを避け,無理をしない生き方は,病気の再発を防ぐ上で大切だとは思いますが,本来の健康の回復は,目標を持ってチャレンジして行く中にこそあると確信できるようになりました」 最近お会いしたある統合失調症の方の言葉です。私たちの活動においても,目標を掲げチャレンジを続けて行く中に,その活力の源泉があると思っております。今年も1年間,マインドファーストへのご支援とマインドファースト通信のご愛読ありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。(H)