シリーズ活動報告

世界メンタルヘルスデー

街頭キャンペーン

世界メンタルヘルスデーとは,メンタルヘルス問題に関する世間の意識や関心を高め,偏見を無くし,正しい知識を普及するために定められた国際デーのことです。

10月9日(日),10:00からJR高松駅周辺で,世界メンタルヘルスデーのための街頭キャンペーンを行いました。今回はマインドファーストの4名が,「心の健康は誰のもの?」と「大規模災害とメンタルヘルス-回復のためのセルフケア」2種のチラシ(いずれもマインドファースト編)とシルバーリボンラベル約350組を配布しました。

以下に参加者体験記を掲載いたします。

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あらためて問う,
「こころの健康は誰のもの?」

理事長 島津昌代

マインドファーストが世界メンタルヘルスデーの街頭キャンペーンをはじめて,今年で7回目になります。最初の時から一貫して「こころの健康は誰のもの?」という世界メンタルヘルスデーについてのチラシとシルバーリボンを配布してきました。今年はシルバーリボンを近くに感じていただくために,身近なグッズに貼ることのできるステッカーにスタイルを変えてみました。また,長期化するコロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻,様々な自然災害など人を不安な気持ちにさせやすい情勢の中でのメンタルヘルスに関するファクトシート「大規模災害とメンタルヘルス」も一緒にお配りしました。

さて,日曜日の高松駅前はや3年ぶりの瀬戸内国際芸術祭や大道芸フェスタもあり,老若男女いろんな人が行き交っていました。街頭キャンペーンの目的は,何よりメンタルヘルスについて関心を持ち,正しく知っていただくことにあります。チラシを受け取ってくださる方もいれば,「大丈夫ですから」と足早に去っていく人もいます。

この「大丈夫」というのは不思議な言葉で,何が大丈夫なのかな?そういう知識は十分もっているから今更教えてもらわなくても大丈夫ということなのかな?自分はメンタル不調になんかならないから大丈夫!と思っているのかな?ただ面倒くさいのでそう言ったのかな?等々思いつつのキャンペーンでした。

ともあれ,世界メンタルヘルスデーのパネルとシルバーリボンは行き交う人々の目には留まったことと思いますし,どこか頭の片隅で印象に残ってくれていたら良いなと思っていたら,この日,朝日新聞に世界メンタルヘルスデーにちなんで水泳選手の萩野公介氏のインタビューが掲載されていました。

人はいつどこで,何がきっかけで不調に陥るかわかりませんし,誰かが調子を崩すと周囲も影響を受けるものです。しかし,躓いて転んでも立ち上がることができるように,そこを抜け出し,新たに健康な自分を取り戻す道はあります。そのちょっとしたポイントや気持ちの持ち方を広く知っていただきたいと切に願っています。

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「世界メンタルヘルスデー」街頭キャンペーンに参加して

理事 森本雅榮

街頭キャンペーンに参加して4年目になります。2日前の急な寒さがまだ残り,午後から雨になるとの天気予報のせいか駅前の人は例年になく少ないように思いました。「10月10日は世界メンタルヘルスデーです」「心の健康の日です」といつも以上に声を張り上げました。コロナ禍にうんざりした人たちが好意的にチラシを受け取ってくれるだろうと勇み立ちました。ところがいつもとは何だか違う雰囲気がします。目を合さず通り過ぎる人が沢山います。また胡散臭いものを見るような目で見られている気がします。これはなんだろうと不思議な気がしましたが気を取り直して声を出し続けました。かなり時間が経って,高齢の女性が声をかけて来ました。「統一教会ですか?」と。←


→とんでもないと説明したがチラシは受け取ってもらえませんでした。さらにしばらくすると自転車に乗った高齢の男性がやって来て,「統一教会?家族会?」と尋ねてきました。「いいえ,統一教会とは全く関係ありません」と詳しく話し説明すると,「私は認知症の家族会をやっています。頑張ってください」と言って励ましてくれました。そうだったのだ。先程からの冷たい視線が腑に落ました。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題が世界メンタルヘルスデーの街頭キャンペーンにも影響していたのだと感じました。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と同じ活動だと誤解されたのはとても心外でしたが,それと同時にこの問題を疑問に思っている市民感覚に触れた気がして嬉しくなり勇気をもらいました。

今後はなお一層マインドファーストの活動を声を大にして伝えていきたいと身の引き締まる思いがしました。来年も新たな人との出会いを楽しみにしております。

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メンタルヘルスデーと心の呪文

認定ファミリーカウンセラー 上田ひとみ

プラカードを胸に「今日は世界メンタルヘルスデーです。」と声をかけながら街頭キャンペーンに参加しました。日本では,まだまだメンタルヘルスの問題を避ける傾向にあります。

マインドファースト通信No54 に,「RUOK? デー」がオーストラリアでスタートした記事があります。「アーユーオーケー(Are you OK? (RUOK?)」と声をかけ合い,自殺予防を目的とした日のことです。心のクライシス(crisis 危機)は,人生の何気ない生活の中に潜んでいます。つい無理をして,自分の心を後回しにしてしまうことは,うつ病や自殺と大きなクライシスへと発展してしまいます。RUOK? 「あなた大丈夫?」と,まずは身近な人へ,そして何より自分自身に「大丈夫?」と問いかけてみましょう。自分を大切にすることは,けっして難しいことではありません。

私は先日,趣味のフラメンコのイベントで,仲間と楽しい時間を過ごしました。生きることの意味,生きている感覚をこんなに感じたことはないほどの喜びがありました。打ち込める何かを見つけ,共感し合える仲間と喜びを分かち合える時間は,人の心を死に向かわせることはないでしょう。そんな時間を大切にすることが,自分を大切にすることに繋がります。好きなことが楽しめなくなったら「RUOK?(自分大丈夫?)」と心で呟いてみる。私は,心にそんな呪文をかけています。小さなケアが心を救います。マインドファースト(mind first 何より自分の心)が,メンタルヘルスデーになるのではないでしょうか?

第224回理事会報告

日 時:2022年10月17日(月)19時00分~20時45分
場 所:マインドファースト事務局オフィス本町 高松市本町9-3白井ビル403

事務連絡および周知事項,報告事項:省略

議事の経過の概要及び議決の結果

第1号議案 会計に関すること(事前配布資料有):島津理事長から,9月期の会計報告について説明資料を基に報告があり承認された。

第2号議案 香川県共同募金会テーマ募金チラシ,参加団体連絡会に関すること:変更事項①昨年度枠組み内の文言コロナ禍の前に「長期化する」を入れる。②募金額は100万円③2023年 1月1日(日)~3月31日(金) ④Facebookの項目を削除する。11月11日開催の参加団体連絡会には植松理事に代わり森本理事がオンラインで出席する。以上が了承された。

第3号議案 HP掲載用「あゆみ」に関すること(事前配布資料有):2016年度活動報告を確認し,HP「あゆみ」に掲載することで了承された。

第4号議案 令和4年度高松市自殺対策推進会議に関すること:標記会議が11月14日高松市保健センターで開催される。島津理事長に代わり花岡理事が出席することで了承された。

第5号議案 「居場所づくり事業」に関すること:①REPOS:9/30松岡氏より運営委員会参加のメールが届き,参加予定者は上田氏と理事3名を含め5名となった。後1名は次回のFC会議で呼びかける。②リトリートたくま:10/14会計報告(4月~9月)が柾理事よりメールで届いた。現在までで4件の助成金申請(子ども笑顔育みプログラム・50万円,三豊市ライオンズクラブ・54,000円,三豊市居場所づくり事業・12万円,こども未来応援ネットワーク事業・10万円)を行った。以上2点が了承された。

第6号議案 オンライン会議のネットワークの構築に関すること:パソコン1人1台が望ましいとの意見が出て,その方向で調整することで了承された。

第7号議案 シンボルタワーライトアップに関すること:メンタルヘルスへの関心を高めるために,民間団体と連携して世界メンタルヘルスデーに合せてシンボルタワーのライトアップを県に働きかけることで了承された。


編集後記:7月の参院選で初当選したれいわ新選組の天畠大輔氏は,14歳のときの医療ミスによって発話障害,四肢麻痺など重い障害を負って,車椅子を使用しています。10月20日,天畠氏は,参院予算委員会において,介助者の代読と自身がコミュニケーションのために使う「あ,か,さ,た,な話法」の通訳を交えながら,国連勧告を無視した障害者政策について岸田文雄首相に質問しました。天畠氏は,「今回の精神保健福祉法改正では,患者に家族がいない場合に加えて,家族が意思表示をしない場合も市町村長の同意によって医療保護入院が可能になろうとしている。国連は『障害者の強制入院による自由の剥奪を認める全ての法的規程を廃止すること』と強く勧告している。今回の改正は勧告に逆行している」と疑問を投げかけました。さらに,日本の精神科医療で長年問題となっている身体拘束についても,この10年間で2倍になっていると指摘しました。これについては,参考人として招かれた杏林大学保健学部の長谷川利夫教授が,「2021年現在,精神科病院の入院患者26万人中半数にあたる13万人が自分の意思によらない強制入院であり,医療保護入院は自傷・他害の恐れがなくても,強制入院させる制度です。家族の同意で入院させるのは,世界でも稀に見るおかしな制度」と批判しました。そして,「精神科病院では多くの人が身体拘束で亡くなっており,裁判も全国で起きている。昨年10 月には石川県の40歳の男性が身体拘束後に亡くなった裁判では,身体拘束開始時からの違法性が最高裁で確定した」と説明しました。天畠氏は,障害者政策などについて「温情主義による支配だ」と政府の政策を厳しく批判しつつ,「総理,これは人権の観点からおかしくないですか?」と首相に質し,岸田首相から障害当事者に会って話を聞くとする答弁を引き出しました。 “Nothing about us without us”(私たち抜きに私たちのことを決めるな) は,「障害者権利条約」の策定過程において,すべての障害者の共通の思いを示す言葉として使用されました。日本の障害者施策は,長年,国際世論と障害者の声を無視し続けてきました。障害者の一般社会における温情的支配からの脱却と市民的権利の回復が,いま国政の場において障害を持った議員によって問われようとしています。本国会が,障害者が個人として尊重され,自由権が保障される歴史的転換期となることを願うものです。(H)