活動報告

世界メンタルヘルスデー

街頭キャンペーン

世界メンタルヘルスデー(World Mental Health Day)とは,メンタルヘルス問題に関する世間の意識や関心を高め,偏見を無くし,正しい知識を普及するために定められた国際デー(記念日)のことです。

「こころの健康」は誰のもの?10月10日は世界メンタルヘルスデーです。

10月4日当日の街頭キャンペーンには,7名が参加し,午前10時から高松駅頭からサンポート横断歩道にいたる間で,スローガン「こころの健康は誰のもの?」を掲げチラシとシルバーリボンセット約250組とWHO作成ファクトシート「COVID-19と心の健康」(マインドファースト訳 抜粋編)200部の配布を行いました。参加者体験記をマインドファースト通信今月号から順次ご紹介していきます。


silver ribbon

世界メンタルヘルスデーキャンペーンを終えて

大西 絵理

わたしは今年初めて街頭キャンペーンに参加させていただきました。

昨年ファミリーカウンセラー養成基礎講座を受け,ファミリーカウンセラーとして在籍させていただいているにも関わらず,わたしは,カウンセラーとしての役目は果たせておりません。その理由を考えたときに自分の軸の弱さやパワーの無さなどが原因のように感じています。カウンセ

ラーは自分をしっかり持っていて,他のひとに与えられるほどのエネルギーがなければその役目は果たせないとおもっています。そんな中,この世界メンタルヘルスデーのキャンペーンで人前に立ち,声掛けさせてもらう。これはいままでのわたしなら決してやれなかったしやらなかったこと。わたしは自分がなにか変われるように思い,参加させていただきました。

参加した感想としては,わたしは,このコロナ禍においてチラシを受け取ってくれるひとなどいないのではないかと予想していました。でも,人って思っているより優しい,気持ちよく受け取ってくださる方がたくさんいるっていうことに感動しました。また,人前に立っている状況に対し自分が弱腰になっているときは歩行者の方もチラシを受け取ってくれづらいし,逆のときは案外受け取ってくれやすいことに気づきました。ということはやはり,自分にエネルギーがあれば相談者の方にもなにか伝わるものがあるように思います。相談を受けられるように自分をもっと強く持つことにフォーカスします。

世界メンタルヘルスデー街頭キャンペーンの様子

反省点としては,世界メンタルヘルスデーについてきちんと説明でき,このキャンペーンを自分のためにするのではなく,街頭で出会った方にメンタルヘルスについてもっと知ってもらえるような対応ができるようになること,また外国の方にも説明できるようになること,そうできるよう来年以降臨みたいと思います。←


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技術援助

令和2年度自殺対策相談窓口担当者研修会

マインドファースト理事長 島津昌代

2020年9月9日(水)14時~15時30分,香川県社会福祉総合センターにおいて香川県障害福祉課主催による令和2年度自殺対策相談窓口担当者研修会が開催され,島津が「自殺予防~私たちにできること」と題して講演を行いました。この研修会は,地域住民からの相談窓口に従事している方を対象としたゲートキーパー養成研修会で,県や市町の機関を中心に民間団体等も含めて24名の参加者がありました。

本研修会は,新型コロナウイルスの感染対策のため,長机に1人着席という状況での開催でしたので,グループディスカッションを行うことはできなかったのですが,事前に職場で困っていることや質問事項を募ることで参加者の意識やニーズを確認することができました。やはり「死にたい」と言われた時の対応が一番困るようで,加えて若年者の自傷行為(過量服薬やリストカット)への対応,関わり方に困っているケースへの対応についての質問が寄せられており,参加者それぞれが現場で苦労されている様子がうかがえました。

相談窓口というのは,困った時に援助を求めてたどり着くところですから,ゲートキーパーとして果たす役割は大きく,そのために正しい知識をもつこと,具体的に対応できること,自分自身をケアすることが求められます。研修会では,「自殺に関する神話 10の間違い」を中心に,自殺企図と自傷行為の違いやゲートキーパーの役割としての具体的対応について,事前の質問項目と絡める形で話しました。また,当日は相談者がたらい回しにされたと感じないような「つなぐ」際の注意点について質問が出て,具体的な言葉かけや共感するという行動を検討することができました。実際の相談活動に即した質問は,参加者にとって明日からの活動に活かすヒントを模索する上で良かったですし,相談を受ける側の自己効力感を高めることにもつながったように思います。

事後のアンケートでは,「自殺に関する神話 10の間違い」を知って自殺についての思い違いをしていることがわかったという感想もあり,啓発していくことの必要性をあらためて感じました。

第199回理事会報告

日 時:2020年10月12日(月)19時00分~20時40分
場 所:マインドファースト事務局オフィス本町 高松市本町9-3白井ビル403

事務連絡および周知事項,報告事項:省略
議事の経過の概要及び議決の結果

第1号議案 ユーザーの「居場所づくり事業」に関すること:10月11日(日),ユーザーの居場所REPOSが,オフィス本町にて開催され,2名の参加があった。REPOSについては,ホームページには未掲載のため,関係者から掲載を期待する声も上がっている。ホームページへ掲載した場合,参加希望者の増加が見込まれるため,そのための人的手当を行うために,ファミリーカウンセラー会議などで,REPOSのスタッフとしての活動の呼びかけを行うことで了承された。

第2号議案 令和2年度テーマ募金参加団体連絡会に関すること:コロナ禍の中で延期になっていた11月16日開催の標記連絡会議へ山奥が出席すること,及び平成2年度の募金キャンペーンチラシについては,昨年と同様のコンテンツとすることで了承された。

第3号議案 認定NPOについての理事学習会に関すること:懸案となっている標記学習会の講師について,理事長が公認会計士に意向を伝えたところ,当該会計士が香川県の監査業務を行っていることから,県の業務に抵触する恐れがないか否かを確認したいとのことであった。先方からの回答待ちということで了承された。

第4号議案 令和3年度地域自殺対策強化事業(強化交付金)実施予定に関すること:島津理事長から案が示され解説が行われた。総額としては,今年度と同額とし,新たにファクトシート「パンデミックと心の健康(仮称)」を作成することで了承された。

第5号議案 相談室の新規開設に関すること:ファミリーカウンセラーの中に,居住地に近い中西讃地区で相談を行いたいとの希望があり,三豊市にある理事名義の物件を借用することで了承された。


編集後記:高松市で乗用車内に長時間置き去りにされた女児2人が熱中症で死亡しました。保護責任者遺棄致死の疑いで逮捕された母親は,2人を車に残して,繁華街で3軒の飲食店をはしごして夜通し飲酒し,その後,知人男性宅で過ごしたことも分かっています。死亡したのは6歳の長女と3歳の次女です。マスメディアでは,母親は,BMWに乗っているママギャルだとか,エアコンをつけていなかったとか,スキャンダラスに取りあげられていますが,幼児発達論的な観点から,保護者が長時間にわたって子どもから離れることの本質的問題点についての議論が欠けています。子どもがアタッチメント行動が取れる母親または母親に代わる重要な人物がいない環境を長時間作ってしまう。こうした愛着形成過程における有害性を論じる必要があるでしょう。大切なことは,単に児童虐待防止を目的とした親への支援プログラムだけでなく,社会が,将来親となる若者を含めて,親の養育様式を変えるための目的を持つことです。母親が,子どもの葬儀に立ちあってはじめて大切なことに気がついたのなら,あまりにも悲しいと言わざるを得ません。(H)