報告

2015年度 香川県自殺対策連絡協議会

マインドファースト理事 浅海明子

9月3日に香川県庁で開催された「平成27年度香川県自殺対策連絡協議会」に理事長代理で出席してきました。この会は,自殺予防に関して県内の関係機関が効果的な連携を図り,自殺対策事業を推進するための情報交換や必要な事項を協議するため毎年この時期に開催されています。

まずは県の担当者の方から香川県の自殺の現状について,資料をもとに説明がありました。香川県の自殺者は平成10年以降200人前後で推移していましたが,平成24年以降200人を下回っているということです。けれどもその数は平成25年でみると交通事故死亡者数の約3~4倍であり,自殺は防げる死であることを考えると,今後さらなる対策の必要性を感じました。その次に「地域自殺対策強化交付金制度」に関する話がありました。年代別にみて20代以下の自殺者数があまり減少していないことから,数年前から若年層向けの自殺対策が強化されています。そこで若年層向けの自殺対策や,経済情勢の変化に対応した自殺対策など必要性の高い自殺対策に関しては交付金事業の支援対象となるというお話でした。また今年度の自殺予防対策の取り組みについても説明がなされ,前年度に引き続き「すべての世代で自殺を防ごう」という実践指針で継続的に自殺者数の減少を目指して取り組んでいくことが確認されました。

次に各参加団体からの今年度の自殺対策の取組みの報告が行われました。

「香川県臨床心理士会」からは,平成28年3月6日の自殺予防シンポジウムについてのお知らせなどがあり,「香川大学メンタルヘルス研究プロジェクト」からはリーダー養成講座についての説明や,9月末に県内の小,中学校で絵本の読み聞かせをし,命の大切さを考える授業を行うという取り組みについても報告されました。「社会福祉法人香川いのちの電話協会」からは,電話受信・相談状況について報告があり,非常に多くの需要がある一方,相談員の確保という難しい課題を抱えておられる現状が伝わってきました。「高松市保健センター」からは,若者のメンタルヘルスに関する普及啓発活動や,自殺未遂者や家族に対して臨床心理士が面接相談を行う事業についても紹介がなされました。「認定NPO法人グリーフワークかがわ」からはグリーフカウンセラー養成講座や,グループミーティング,電話相談窓口の紹介がありました。当方からは,対面型相談,電話相談,ファミリーカウンセラー養成講座,ピアワークス,自殺者遺族のグループミーティングの5事業を報告しました。

県の担当者の方が異動されることを考えますと,毎年このような会でさまざまな団体の活動を知り,関係者が顔の見える関係を随時作っておくことが大事なのだろうと感じました。←




→生と自殺の間に架かる橋

-The bridge between suicide and life-

サンフランシスコのゴールデン・ゲート・ブリッジでは,1937年の開通から今日までに1,600人以上の人が橋から飛び降りて亡くなっている。美しい橋だけに,自殺を美化した人たちが,死に場所をここに求めてやって来るのだと言われる。しかし,橋から飛び降りたとき,実際起きることはそうではない。4.5秒で落下して,時速120kmで水面に激突する。ほとんどの場合即死であるが,そこには,美化された自殺にはほど遠い死の現実がある。

カリフォルニア・ハイウェイ・パトロールに23年間努めていたケビン・ブリッグス氏は,ゴールデン・ゲート・ブリッジでの勤務に就いた当時,警察官に対しては体系だった自殺対策の研修はなかった。自殺を考えている人は,自分の力ではどうにもならないという絶望の淵にいるため,人生に対する関心を失い,他人との付き合いを避けている。そのような人たちには,真正面から向き合うことが,彼らの命を救い人生の転機になるかもしれないという考え,橋周辺で数百人の自殺志願者に対処してきた。

ブリッグス氏自身が直接携わった人たちのうち,自殺を止めることができなかったのは2人だった。橋で語り合った自殺志願者の多くが自殺しなかった。橋から飛び降りた人で,生き残ったのは,1~2パーセントであったが,この人たちは,橋から飛び降りた瞬間,自分が間違いを犯したことに気づき,生き続けたいと思ったという。生死を分けるものは何か。詳細は下記サイトで。日本語訳あり。

http://www.ted.com/
talks/kevin_briggs_the_bridge_between_suicide_and_life?
language=ja


第129回理事会報告

日 時:2015年8月26日(月)19時00分~21時00分
場 所:高松市男女共同参画センター 第4会議室
事務連絡並びに報告に関する事項:省略
議事の経過の概要及び議決の結果

第1号議案 NPO活動の拠点についての陳情書に関する事項:報告の③によって,高松市議会に対するNPO活動の拠点についての陳情書に連盟することが承認された。

第2号議案 「若者メンタルヘルスと家族相談」のブロシュールに関する事項:フォークス21のブロシュールのリニューアルにあたって「若者メンタルヘルスと家族相談」の減免措置を記載した原案を花岡理事が作成,提出された。内容について承認され,表紙にマインドファーストのロゴを加え,9月13日のファミリーカウンセラー養成講座の修了生に配布するものとして,20部を印刷し,当日,準備することが承認された。今後,自殺対策補助事業の相談についても追加記載してものを作成する予定となった。

第3号議案 認定NPO法人取得記念事業に関する事項:今年度の事業計画に挙げられている認定NPO法人取得記念事業の開催に向け,8月31日のファミリーカウンセリング会議で企画委員を募り企画委員会を発足させること, テーマは「次世代家族支援 幼児と若者 」“愛着,愛着障害”を中心とした内容の講演会とシンポジュウムという案も出たが,まず,企画書を作成していくことが承認された。3月の土日の会議室の空き状況を調べたところ,百数十名収容程度の会場のうちいくつかは空いている状況であった。

第4号議案 心の健康オープンセミナーに関する事項及び第5号議案 メンタルヘルスチェックの義務化を受けた新規事業提案に関する事項,審議未了。

第130回理事会報告

日 時:2015年9月14日(月)19時00分~21時00分
場 所:高松市男女共同参画センター 第7会議室
事務連絡並びに報告に関する事項:省略
議事の経過の概要及び議決の結果

第1号議案 認定NPO法人取得記念事業に関する事項:9月12日に認定NPO法人取得記念事業企画会議が開かれ,9月16日までの企画書の趣旨文を北條理事が作成し,メーリングに流すこととなっている。基調講演には,愛着の問題に詳しい専門家で岡山の方に依頼すること,パネラーにNPO法人子ども虐待防止ネットワークかがわの方,小児医療の分野で地域で活動されている方,行政の方で現場の経験のある方,高等学校の養護教諭等が候補にあがった。今後企画書が出来次第,講師交渉に入ること,また,コーディネーターは当法人から出すことが承認された。日程は2016年3月21日(月)あるいは3月27日(日)の午後にサンポート高松第61会議室を仮申請することが承認された。

第2号議案 心の健康オープンセミナーに関する事項:今年度2回のセミナーを計画しており,企画書の作成にあたり,セミナーは来年度共同募金の助成を受けて行う予定の居場所づくり事業につなげることのできるテーマで開催することが承認された。第1回は11月28日(土)13時30分より,高松市男女共同参フェスティバルのワークショップとして,取り組むことが承認された。講師は,香川県内のメンタルヘルスユーザーの居場所づくりの実践をしている方が挙げられ,引き続き審議することが承認された。

第3号議案 フォークス21のブロシュールに関する事項:ブロシュールのリニューアルにあたって「若者メンタルヘルスと家族相談」の減免措置ならびに香川県自殺対策補助事業の相談を記載した原案が花岡理事より提出された。サイズはA4変型判4つ折り,出来上がりサイズは100mm×210mmとすることで承認された。今後,メールにて,内容の最終確認をして,完成次第,印刷を発注することが承認された。

第4号議案 ホームページ担当者に関する事項:ホームページの管理を依頼しているAIYAシステムの藤澤氏との連絡の窓口になる理事として,花岡理事が承認された。各事業についてのホームページの更新をする場合は事業担当理事から花岡理事に連絡することが承認された。また,今後,ホームページの更新に関するマニュアル化を図ることが確認された。

第5号議案 メンタルヘルスチェックの義務化を受けた新規事業提案に関する事項:関連資料が配布・回査覧され,引き続きメンタルヘルスの義務化についての情報を収集することが承認された。

第6号議案 報償費ならびに委託料支払い規定に関する事項:花岡理事より,報償費及び委託料支払い規定の原案が提出された。なお,管理業務である事務局,電話受理,ホームページ管理などの委託料については,理事会にて,その都度,決定してくことが承認された。

第7号議案 ボランティア役務の評価に関する事項,第8号議案 家族精神保健相談員資格制度施行細則に関する事項,第9号議案 寄付金の依頼に関する事項,及び第10号議案 ビジョンの作成に関する事項,以上審議未了。

編集後記:「あの,こんなこと言うと非常に申し訳ないのですが,先ほどから寝ている方がたくさんいるので,もしよろしければお話を聞いていただければと思います」9月15日の国会で,一人の若者が,居眠りしている大人たちに呼びかける場面がありました。最近,身近なところでは,親からこうした相談があるという話も耳にします。「息子や娘が,政治に参加するのをどうやって止めたら良いでしょう。『すぐ熱が冷めてみんな去っていくよ』『抜け出せなくなるよ』『利用されるだけよ』『就職に差し支えるよ』などと説得するのですが,最後は喧嘩になってしまいます」と言ったものです。若者は,大人と真剣な対話とつながりを求めていますが,大人の方はそうした声に耳を傾けることができなくなっているようです。家族,学校,職場,地域社会,国家など,既存の集合的アイデンティティの中に帰属意識を持てず,孤立し精神的に不健康な状態に陥る若者も少なくない一方,孤立がアイデンティティの個人化を促し,目覚めた若者が,一人,一人つながっていく変化が起こりつつあることも事実のようです。(H)