【活動報告】世界メンタルヘルスデー 街頭キャンペーン

高松シンボルタワーのライトアップと
キャンペーンスタッフ
世界メンタルヘルスデーとは, メンタルヘルス問題に関する世間の意識や関心を高め,偏見を無くし,正しい知識を普及するための国際デーのことです。1992年に世界精神保健連盟(WFMH)が,10月10日を「世界メンタルヘルスデー」と定めました。
私たちマインドファーストは,2016年から毎年,世界メンタルヘルスデーのための街頭キャンペーンを行っております。今年は,10月10日(金),17:30からJR高松駅周辺で街頭キャンペーンを行いました。スタッフ4名と香川県と高松市の職員4名の参加協力のもと,チラシ「心の健康は誰のもの?」(改訂版 マインドファースト編)と手作りのシルバーリボン約400組を配布しました。
昨年から,10月4日から11日の日没から22時まで,高松シンボルタワーが,シルバーにライトアップがされるようになり,今年の街頭キャンペーンも,この時間帯に合わせて行いました。
街頭キャンペーンに参加して
マインドファースト副理事長 青木節子
街頭キャンペーンに参加するのは,今年で 2 年目になります。昨年,初めて参加した際,シルバーにライトアップされたシンボルタワーの美しさに感動しました。どんよりした雲の隙間から差し込む光が銀色に輝き,希望を含んでいるように見えることが,世界メンタルヘルスデーのシンボルカラーがシルバーである理由だと教えていただきました。
10月10日,高松駅前広場には,帰宅途中の方々や待ち合わせをする人,そして瀬戸内芸術祭開催の影響もあってか,スーツケースを持ち歩く国籍豊かな旅行者など,それぞれの目的地へと向かう方々がいました。
「10月10日はメンタルヘルスデーです」と,目を合わせて声をかけます。横に手を振る方には, 「お疲れ様!」「良い旅を!」と声をかけ,メンタルヘルス?と立ち止まってくださる方には, 「今週はシンボルタワーがシルバーにライトアップされてるんですよ!」とメンタルヘルスデーの事をお伝えします。皆さん,見上げて「きれいですね」と目を輝かせてくださり,チラシに目を通してくださる人もいます。
実を言うと,私は街頭ではチラシを受け取らない,避けて通るタイプの人間です。だから,避けて通る人の心情も「そうだよなあ」と思うところあります。そんな私が,この活動に参加するのは,メンタルヘルスを他人事ではなく,自分事として捉え,障害のある方もない方も,偏見のない社会になってほしいと願っているからです。
大阪から旅行でこられた女性グループの方々,ベンチでパンを食べていた外国から働きに来ている彼,待ち合わせで立っていた彼女,たまたま目があってしまいましたね・・・。見上げたシンボルタワーやお渡ししたチラシに何を思ったかしら。
素通りされた方々にも,その耳に「10月10日は世界メンタルヘルスデー」という言葉が残っていて,そこから何かを感じるものがあれば幸いです。
ほんの 1時間の街頭キャンペーンでしたが,当日,出会えた皆様,香川県・高松市の職員の方々,マインドファーストの皆様,ありがとうございました。この瞬間,この場所で,あなたと出会えた事,言葉を交わせた事,それは,とても素敵な事。
来年は,どんな出会いがあるでしょう。楽しみです。
「世界メンタルヘルスデー」街頭キャンペーンに参加して
マインドファーストファミリーカウンセラー 森本雅榮
街頭キャンペーンに参加して7年目になります。昨年に続き今年もシンボルタワーの点灯があり,点灯に合わせて17:30から1時間,薄暮の頃からどっぷりと暗くなった時間帯まで,高松駅前での活動となりました。マスクをした人が本当に少なくなってコロナ禍の時期が遠い昔のことのような気がしました。また薄明りの中,日本人なのか外国人なのかよく分かりませんでしたが,私たちとよく似た顔立ちの外国人が増えたような気がしました。国際色豊かな賑わいを取りもどした駅前で「今日は世界メンタルヘルスです」と声を張り上げました。仕事帰りで疲れ切った日本人のほとんどは黙って受け取るか,素通りするなかでしたが,「うちらには関係ありません」と言って元気に素通りする若いカップルもいました。意外にも若い女子高校生が何人も受け取ってくれたりしました。また通りがかりの医療従事者が「患者さんに配ります」と言って沢山のチラシを持って帰ってくれたりしました。その方との立ち話から医療につながっている人たちがかなり多くいることが分かりました。
一見華やいで見える世の中ですが苦しんでいる人があらゆる分野で数多くいる現在,マインドファーストの活動を広めていく意味を大いに感じました。また薄暗がりの中,元気に「ソーリソーリ」と言いながら立ち去る旅行者,「サンキュー,ガイジン」と受け取ってくれる旅行者など色々いましたが,彼らの声に世界は繋がっているんだと不思議と勇気をもらいました。10月10日は世界中で同じように声を張り上げている仲間がいるという思いに駆られました。書かれた細かい言葉の意味は分からなくっても,10月10日世界メンタルヘルスデーに日本で活動をしている私たちに出会ったということが旅の思い出となり,メンタルヘルスを真剣に考える機会になればと祈りながらチラシを配り続けました。
シンボルタワーのシルバーライトから香川の人々の大いなる支援を受けているような力強さを感じたひと時でした。シルバーライトに魅せられてシルバーの私が来年も参加できることを祈り続けました。
【報告】令和7年度 高松市若者支援協議会 代表者・実務者全体会議
マインドファースト副理事長 青木節子
2025年10月8日(水),高松市役所にて令和7年度高松市若者支援協議会 代表者・実務者全体会議が開催されました。本協議会は平成29年度に設置され,社会生活に困難を抱える若者やその家族への包括的な支援政策を検討しています。健康福祉局長は,支援の途切れやすさが課題であるとし,今後は引きこもりなど困難を抱える若者が孤立しないよう,他分野からの重層的な支援を充実させる方針を示しました。
高松市総合教育センターからは,不登校児童数は令和元年から令和6年で2.2倍に増加しており,特に小学生では3.4倍と,不登校の低年齢化が進んでおり,長期化の傾向も顕著で,中学校では年間30日以上の欠席者の約6割が90日以上の長期欠席者となっており,出席日数が0日~10日の子どもは「引きこもりに近い状態」であるという深刻化する不登校の現状が報告されました。支援策として,進路を説明するための「フレンドシップ進路説明会」の実施や,教育支援センターにおける低中学年向け教室「なないろ」や少人数支援教室「しずく」の設置など,機能拡充が図られていることが話されました。しかし,課題として,教員不足のため校内サポートルーム(KSR)に常駐の先生が配置できていないこと等あげられ,教育,福祉,医療の横のつながり強化が必要であるとの認識が共有されました。
事務局からは,中学校卒業後の進路不明者25人(0.7%)と,高等学校中途退学者推定128人,合計153人を当面の支援対象者として設定していると説明されました。関係機関からは,支援を確実につなぐための具体的な仕組みづくりが求められました。 「まなびやもも」の伊澤代表からは,進路不明者や中退者に対し「誰がいつ動くのか」を明確にする仕組み(構造化)の必要性の指摘,中学校長会からは,卒業時に本人・保護者の了解を得て,支援継続情報を関係機関に提供する枠組みを校長会で作り上げることが可能であると発言しました。
教育支援センターからは,支援情報が各部局で分断されている現状を踏まえ,行政全体でネット上にて情報が一元化され,必要な情報にすぐにたどり着くAI機能などが組み込まれた仕組み作りが必要であるとの意見が出ました。
事務局から,個別ケースや具体的な連携を図るため,原則非公開の連絡調整会を設置する提案がなされました。また,委員からは,情報提供の仕組みだけでなく,卒業後数年間にわたりスクールソーシャルワーカーなどのマンパワーを増やし,人が繋いでいくアプローチの必要性について強い要望が出されました。山岸会長は総括として,困難を抱える家庭を救うには,専門家が卒業後も数年間関わり続け,適切な支援機関に「人から人へ」確実につなぐマンパワー(人の力)が根本的に必要であると強調しました。
本全体会議では,各分野の真摯な姿勢が伝わりましたが,統計的な傾向を見る中で,本人やご家族の「個々の顔」が見えなくなりがちであるという懸念を感じました。また,本人やご家族の意見の見えないところで,議論の枠組みが「不登校=直すべきもの」という,学校へ行くことを前提とした側面に偏っているようにも見えました。個別の居場所や枠組み作りなども必要ですが,委員や会長からの強い要望にもあった通り,困難を抱える家庭へ適切な支援を「人から人へ」確実につなぐ,すなわち関わる人の存在が根本的に最も重要であると痛感しています。
第265回理事会報告
日 時:2025年10月8日(月)19時00分~20時56分
場 所:高松市本町9-3白井ビル403 オフィス本町
事務連絡および周知事項,報告事項:省略
議事の経過の概要及び議決の結果
第1号議案 会計に関すること
青木副理事長から,預貯金通帳・現金出納の出入金について説明があり異議なく承認された。
第2号議案 共同募金テーマ募金に関すること
2025年度テーマ募金について照会がり,募金目標額は100万円とし,チラシについては,裏面の「寄せられた募金は下記の活動に役立てます」に5項目として「居場所」を追加することで了承された。
第3号議案 世界メンタルヘルスデーに関すること
10月10日17:30~18:30,高松駅前広場にて街頭キャンペーンを行う。青木から,キャンペーン用パネル10枚をラミネート加工し更新したと報告があり,今年度からこのパネルを使うこととする。現時点での参加者は,青木,上田,花岡,森本であること,さらに,会員,非会員を問わず,知人や学生等にキャンペーン参加の呼びかけを行い,予め参加の意思表示があった者には旅費を支給することで了承された。
第4号議案 高松市自殺対策連絡協議会に関すること
11月24日(火)15:00~16:30の標記会議については,理事長島津の代理出席で花岡を派遣することで了承された。今年度提出分の事前提出書類については,昨年度のものを見直して変更を行うとともに,以下のものを追加することが了承された。基本政策3(自殺対策の推進に資する情報の収集及び提供等を図る)に,ホームページにて,毎月のマインドファースト通信での情報発信及び,ファクトシート「自殺予防1- 自殺を考えている人とその家族や友人のために」「自殺予防2- 自殺に関する神話 10の間違い」「自殺予防3- 若者を自殺から守るために」「自殺予防4- 自傷行為を防ぐために」「自殺予防5- 科学的有効性が確立している『うつ病の心理的治療』」「自殺者遺族支援- 大切な人を自殺で亡くされたあなたのために」を追加,基本政策5(こころの健康を支援する環境の整備とこころの健康づくりを推進する)に「心の健康オープンセミナー」を,基本施策7(社会全体の自殺リスクを低下させる)に「市町におけるゲートキーパー研修への講師派遣」を,及び基本政策11(感染症・自然災害等により,精神的負担を抱えている人への支援を強化する)に,ファクトシート「メンタルヘルス5- 大規模災害とメンタルヘルス」をそれぞれ追加する。
第5号議案 「リトリートたくま」に関すること
2026年1月10日と2月14日の土曜グループについては,マリンウエーブの会場確保が難しいため別会場の「みとよ未来創造館(和室B)」を予約した。また,スタッフのコンサルテーションについては,10月中旬以降の実施に向けて現在上田が日程調整中である。以上が了承された。
第6号議案 2025年度ファミリーカウンセラー養成講座・基礎コースに関すること
上田から進捗状況の報告があった。養成講座最終日に法人の事業と認定ファミリーカウンセラー資格認定に関する説明を行うこと,並びに講座出席要件を満たしたものに修了証書を授与することで了承された。なお,修了証書は花岡が作成し当日持参したものに副理事長青木が法人公印を押印する。
第7号議案 ファミリーカウンセラー資格認定に関すること
今年度の認定委員は,青木,上田,花岡,花房であることを再確認し,「ファミリーカウンセラー認定までの流れ」のフローチャートに沿って日程の確認を行った。資格認定の面接日時は,12月14日(日)13:30~16:30で応募者に周知することで了承された。また,認定委員の中には2025年度ファミリーカウンセラー養成講座・基礎コースの講師を務めた者もいるため,面接実施に際しては,応募者と面接委員との人間関係の多重性を排除するために,面接委員の構成に必要な配慮を行うことが了承された。
第8号議案 傾聴・相談力セミナーに関すること
標記ブロシュール印刷は校正の段階であるが,大事なことが伝わるように,字数を減らして内容を簡潔にしたい意向が担当の上田から表明されたため,変更内容は上田に一任することで了承された。
第9号議案 「おどりば」の会場変更周知に関すること
2026年4月からの会場の変更に伴い,既存の「おどりば」のブロシュールの開催場所の変更について,修正シールを貼り使用すること,並びに修正シール印刷の見積もりを取ることで了承された。
第10号議案 相談事業の件数記録に関すること
これまで個別相談及びグループミーティングにおける相談件数の集計を実人数と延べ人数で表記してきたが,個別相談については,件数と実人数の併記,グループミーティングについては,いずれもクローズドミーティングではなく,毎回参加は任意であるオープンミーテイングであることから,同一人が複数回参加する場合においても,実人数と延べ人数の区別は行わず,毎回の参加者数を記録することで了承された。
編集後記: 長年連れ添った妻から,離婚をほのめかされ,夫は動揺しますが,「まさかと」高をくくっています。しかし,ある日妻からきっぱり離婚を告げられ,夫は「ちょっと待って欲しい」ととりすがりますが,時すでに遅く,「あなたは何も分かろうとしない。ちっとも変っていない」と言いおいて妻は家を出ていきます◆パートナーに去られ,夫には,なぜ今になってという思いが残ります。はた目には円満に見えた夫婦の「熟年離婚劇」の舞台裏は,突然でもなければ一方的でもない事情があるものです◆最近,これに似た光景を政治の舞台で見たような気がします。男女の立場は入れ替わりますが,自民党総裁に選ばれた高市氏と公明党斎藤党首との自公連立を巡る話し合いの中で,「待って」欲しいと問題を先送りする高市氏に対して,斉藤氏は「この場で決めて」と言い放ちました。パートナーの長年の苦労に思いがいたらず,「変わらないあなたにはがっかりした」と言わんばかりに高市氏のもとを去ったようです。「一方的に伝えられた」と高市氏は自分の立場は語りましたが,日ごろからのコミュニケーションを大切にしてこなかったパートナーとの対話だけに,相手の事情に気がついたかどうかは分かりません◆離婚を経験した人は,再婚することもあれば,しないこともありますが,相手に去られたショックから,孤独に耐えられず新たなパートナーを求めることも少なくありません。こうした場合,再婚してからも同じことを繰り返して,また離婚することもあれば,そうでないこともあるようです◆再婚でうまくいっても,先の結婚生活を振り返り,二人には対話が欠けていたことに気づき,そのことに悔いが残ると言われています。これは,離婚先進国米国の家族研究の知見です◆今回,政治の舞台では,別れた妻は早速新しいパートナーを得たようですが,パートナーシップを組むにあたり,両者が理解しあえるだけの対話があったかどうかは,はなはだ疑問です。「誤解して結婚し,理解して離婚する」とはよく言ったものです。新しいパートナーを得たとき,私の過去のことには触れないでと言いたくなる気持ちは分からないでもありませんが,同じことを繰り返さないためにも,先の離婚に至る結婚生活をふりかえり,思い当たる節があったぐらいの感性は欲しいものです◆そして,新しいパートナーと出会ったとき,どのようなことが結婚生活の障害になりそうかに気づいておく冷静さが求められます。これも家族研究から得られた知見です。人と人が出会い,共に生活をしていく上で大切なことは,日ごろからの対話でしょう。自分にとって都合の悪いところには目をつぶり,幸せな結婚生活だけを夢見て,ある日突然別れがやってきたと慌てないためにも。(H.)
