リトリートたくまオープン1年

マインドファースト理事 柾 美幸

オープンからはや1年が過ぎようとする「リトリートたくま」。仕事や学校や家庭など人間関係などで「疲れたな」と感じた時に日常からちょっと離れて,リラックスできる自分の時間を持つことでリフレッシュすることを目的としています。マインドファーストで「居場所」の重要性を常々話し合っていた頃『香川県子ども・若者孤立化防止支援事業』の募集を知り「リトリートたくま」が誕生しました。

現代社会の中では学校も職場も忙しく,日々立ち止まることもあまりできず,慌ただしく時間が過ぎています。家族みんなが忙しく,家庭の中でもゆったり過ごせないことも多くなっているのではないでしょうか?「リトリートたくま」は,参加は自由です。最近疲れたな・・・。日常から離れて自分のペースでのんびりしたいな。と感じた時,ふらっと参加できます。ほんのひと時でも生きづらく感じた社会から離れてみることは貴重な時間となることでしょう。

学校に行きづらくなっている子供たちや,進路を決めなくてはいけないと思いつつ,決められず焦ってしまっている若者。自宅から出ることができなくなっている人。そしてそのような人たちを支えているご家族。日々のストレスをリセットしませんか?

問い合わせのお電話でよくある質問として「どんなことをするのですか?」と尋ねられることがあります。リトリートたくまでは「○○をしなければならない」ということはありません。勿論したいことがあれば何かをすることも構いません。普段の生活の場から離れて,いつもと違う空間・人の中に身を置くことで気分転換ができればと思っています。そこにいる新しい出会いも何かしらの刺激になるかもしれません。お喋りしたければそれもいいでしょう。

黙って聞いているのもいいでしょう。

開催日時は毎週水曜日の13時から15時です。予約は要りません。もちろん開催時間2時間の間ずっといなくてはならないということもありません。ちょこっと顔を覗かせるだけでも構いません。ちょっとだけよっこらしょ!とお出かけください。お待ちしています。

Twitterfacebookを始めましたのでご覧ください。

COVID-19 の流行下における

メンタルヘルスと心理社会面への配慮(WHO)

2020年3月18日,世界保健機関(WHO)はコロナウイルスの新たな流行を宣言しました。この危機は,世界中の人々にストレスを生み出しています。WHO精神保健局は,サポートのために一連のメッセージを発信しています。

メッセージは,一般集団,医療従事者,保健施設のチームリーダーやマネージャー,子どもの介護者や高齢者,基礎疾患を持つ人々とその介護者,孤立した人などを対象とした30項目からなります。

一般向けとしては,不安や苦痛を感じる原因となるCOVID-19に関するニュースを見たり,読んだり聞いたりすることを最小限に抑えること。そして,信頼できる情報源からのみ情報を求め,計画的に,自分自身と愛する人を守るための実用的な措置を講じることができるようにしてください,と大切なメッセージがあります。

以下に,子どもの介護者に対するメッセージをあげておきます。

子どもたちが恐怖や悲しみなどの感情を表現する分かりやすい方法を見つけるのを助けましょう。どの子どもも,それぞれ自分の感情を表現する方法を持っています。遊びや描画など創造的な活動を行うことも,このプロセスを促進しやすくなります。←


→子どもたちは,安全で協力的な環境のもとで自分の感情を表現し,コミュニケーションを取ることができれば安心できるでしょう。

安全だと判断できれば,子どもを親や家族のもとに置き,子どもと世話人を分けることは極力避ける方が良いでしょう。どうしても子どもを世話をしている大切な人から切り離す必要がある場合は,それに代わるだけの適切なケアを提供すること,そして,ソーシャルワーカーなどが定期的に子どもをフォローアップする必要があります。さらに,分離期間中は,例えば,1日2回の電話またはビデオ通話またはその他の年齢に応じたコミュニケーション(ソーシャルメディアなど)で,必ず定期的に親や介護者と接触を保つことが大切です。

日常生活で慣れ親しんだ日課を可能な限り維持するか,子どもが家にいなければならない場合(ステイホーム)は,新しい日課を作る必要があります。学習活動を含め,子どもの年齢に応じた活動への従事も大切です。社会的接触を制限されていても,できれば,子どもたちに,家族の中だけであっても,他の誰かと一緒に遊びや交流を続けるよう奨励することが望まれます。

ストレスや危機の時には,一般に子どもたちはより多くの愛着を求め,親への要求が多くなります。子どもたちには,COVID-19について正直に年齢に相応しい方法で話しあうことも大切です。子どもが関心を持っている場合は,一緒にそのことを取り上げてみることは,子どもたちの不安を和らげる可能性があります。子どもたちは,困難な中にあって,大人の行動や感情を観察して,自分自身の感情を扱う手掛かりにすることができます。

『みんながヒーロー』は,新型コロナウイルス感染症の大流行に影響を受けている世界中の子どもたちのために書かれた絵本です。本書は,「緊急時のメンタルヘルスと心理社会的支援に関する関連機関常設委員会レファレンス・グループ(IASC MHPSS RG)」のプロジェクトにより制作されました。

日本語版は,下記サイトへアクセスしてご覧下さい。

https://interagencystandingcommittee.org/system/files/2020-04/My%20Hero%20is%20You%2C%20Storybook%20for%20Children%20on%20COVID-19%20%28Japanese%29.pdf

(マインドファースト通信編集長 花岡正憲)

第196回理事会報告

日 時:2020年8月17日(月)19時00分~21時00分
場 所:マインドファースト事務局オフィス本町 高松市本町9-3白井ビル403
事務連絡および周知事項,報告事項:省略
議事の経過の概要及び議決の結果

第1号議案 ユーザーの「居場所づくり事業」に関すること:「REPOS」の参加状況は8/2(日)男性2名,8/9(日)男性2名であった。炎天下の中,自転車で来室する者もいて,あらためて居場所の存在意義を感じた。高温注意報もあることからサマータイムを設ける要望もあったが,参加者の主体性に任せる意見が出る。懸案となっている「REPOS」への参加場面を離れて発生する個々のメンバーの問題については,担当者が個別に対応することなく,マインドファーストの個別相談の窓口の活用を選択肢の一つとして提示することで了承された。

第2号議案 令和2年度ファミリーカウンセラー養成講座に関すること:新型コロナウイルス感染防止のため来年2月予定のオープンダイアローグセミナー(シニア研修会)を中止とし,令和2年度ファミリーカウンセラー養成講座を1月開催とする。従来の2時間×6回を3時間×4回とし,10月チラシ作成・発送を予定して会場の予約に当たる。次回8/24ファミリーカウンセラー会議で相談することで承認された。

第3号議案 令和2年度「子供・若者育成支援のための地域連携推進事業(中央研修大会)」参加者推薦に関すること:新型コロナウイルス感染防止のため今年度は推薦を見送ることで承認された。

第4号議案 大学院生からの博士論文のための調査協力依頼に関すること:依頼のアンケート内容は,引きこもり当事者にとって回答が難しいこと,また,臨床現場への配慮に乏しいものであるとの判断から,既にアンケートが送られてきているが応じないことで承認された。

第5号議案 コミュニテイFM(FMサン)出演に関すること:7/31(金)FMサンの木内さんより出演依頼の電話があった。FMサンは,中讃地域をエリアとしたラジオ番組で,県内で活動しているボランティア団体等福祉関係の紹介をしている。本社は坂出駅前にある。当法人の宣伝にもなり,願わくは寄附のお願いもできるのではと考えている。話す内容は,コロナ禍の中メンタルヘルス全体について触れ,自殺対策,ぴあサポートに力を入れていること等である。8/27(木)理事長島津を派遣することで承認された。

編集後記:大阪発信の「嘘のような本当の話」は,結局,「とても本当とは思えない嘘の話」で終わりました。「うがい薬のイソジン(ポビドンヨード)が,コロナに打ち勝てるんじゃないか」と言う吉村大阪府知事の発言で,ドラッグストアへ人々が殺到し,店頭から商品が消えました。大阪府知事の発言の材料となったのは,大阪はびきの医療センター次世代創薬創生センター長松山晃文氏の手による「ホテル宿泊療養におけるポビドンヨード含嗽の重症化抑制にかかる観察研究について」です。公開されているものは,A4版1枚の資料だけです。結果として示されているのは「唾液のウィルス陽性率」のみであり,人体全体からのウィルス排出量を減らすのか,重症化や感染そのものを抑制するのかについては,何も言えない研究です。研究デザインも,また論文の体裁にも,不備が多く,信頼ある医科学雑誌等の査読を受けたものでもありません。仮にコロナウイルス対応の効果として普遍性があるものであれば,一地方自治体の首長ではなく,WHOか,せめて厚労省からの正式見解として公表されてしかるべきです。科学的リテラシー皆無の功名心にかられた知事の話に振り回された感は拭えません。WHOのCOVID-19 の流行下におけるメンタルヘルスと心理社会面への配慮に関するメッセージに「COVID-19に関するニュースを見たり,読んだり聞いたりすることを最小限に抑えること。そして,信頼できる情報源からのみ情報を求め,計画的に,自分自身と愛する人を守るための実用的な措置を講じる」とあります。危機時においても冷静な行動がとれるのは,それを支える合理的,科学的思考だと思います。(H.)